こんなお悩みにお答えします。
【この記事の内容】
- 大阪メトロの「マイスタイル」とは?
- 「マイスタイル」のメリット・デメリット
- 定期券と「マイスタイル」との違い
- 「マイスタイル」の登録・利用方法
通勤や通学の交通費を節約する方法では、「定期券」の利用が定番です。
でも、大阪地下鉄(メトロ)や大阪シティバスの場合は、ICカード「PiTaPa(ピタパ)」の「マイスタイル」という運賃割引サービスは要チェックです。
定期券と使い勝手が違うところがありますが、費用を安くおさえられます。
ここでは「マイスタイル」とはどんな割引サービスなのか、その内容と登録方法、定期券との違いをできるだけ分かりやすく解説していきます。
大阪地下鉄の「マイスタイル」とは?
「マイスタイル」とは、登録した区間を1か月間にいくら利用しても、運賃は上限金額までしか請求しませんという割引サービスです。
大阪地下鉄(メトロ)と大阪シティバスで、独自に実施しています。
「マイスタイル」には、3つのプランがあります。
- 地下鉄プラン
- バスプラン
- 地下鉄・バスプラン
それぞれに「子供用」と「学生用(学割)」が用意されています。
そして、「マイスタイル」を利用するには、ICカードの「PiTaPa(ピタパ)」が必要です。
PiTaPaは、どんな種類のものでもOKです。
他社で定期券として使っていたり、区間指定割引や利用回数割引などに登録していてもかまいません(大阪メトロ・シティバス以外で)。
ただし、PiTaPaを持っているだけでは「マイスタイル」は使えません。最初に、利用登録する必要があります。
PiTaPaとは?
PiTaPa(ピタパ)は、電車やバスに乗れる交通系のICカードです。
ただ、ICOCA(イコカ)など他のICカードと違って、後払い(ポストペイ、後日請求)方式という点が大きな特徴です。
つまり、クレジットカードと同じしくみです。
このため、PiTaPaは駅では買えません。入会申し込みの手続きが必要です。
大阪地下鉄「マイスタイル」のメリット(定期券より良い点)
定期券より利用範囲が広がります。
PiTaPa「マイスタイル」は、定期券と比べて、地下鉄の利用できる範囲が広くなります。
まず、「マイスタイル」のしくみをみてみましょう。
「マイスタイル」を利用するにあたって、最初に「登録駅」を2か所選びます。
とりあえずは、定期券と同じように、自宅・職場の最寄駅や、JR・私鉄との乗り換え駅にするといいです。
登録駅を決めたら、自動的に「対象駅」が設定されます。
「対象駅」とは、「登録駅」以外で乗り降りできる駅です。
定期券では「登録駅⇔登録駅」の利用ですが、「マイスタイル」では、それに加えて、「登録駅⇔対象駅」も利用できます。
ただ、「対象駅⇔対象駅」は利用できません。「登録駅」のどちらかで乗り降りが必要になります。
この点が定期券と違うところです。
イメージしにくいかもしれませんので、具体例でみていきましょう。
図の赤枠の駅が「登録駅」、緑枠の駅が「対象駅」です。
【例1】登録駅を「梅田駅」と「難波駅」にした場合(2区240円)
「梅田駅⇔難波駅」の定期券は、その区間しか利用できません。しかも、利用できる経路(ルート)が指定されています(御堂筋線経由など定期券に記載)
ただ、経路上にある駅なら、どの駅からも乗れて、どの駅でも降りられます(乗り降り自由)。
例えば、御堂筋線経由の定期券では、心斎橋駅から乗って淀屋橋駅で降りるという使い方ができます。
一方、「マイスタイル」で、梅田駅と難波駅を「登録駅」にすると、「対象駅」が広い範囲で設定されます。
梅田駅または難波駅と、これらの「対象駅」の間も利用できます。経路は自由です。
ただし、心斎橋駅⇒淀屋橋駅のような「対象駅」から乗って「対象駅」で降りる使い方はできません。
【例2】登録駅を「梅田駅」と「本町駅」にした場合(1区190円)
この例のように、地下鉄の初乗り運賃(1区190円)の最短区間では、「マイスタイル」にしても、それほど利用範囲は広がりません。
それでも、定期券の梅田~本町よりは、広くなります。
【例3】登録駅を「大阪港駅」と「難波駅」にした場合(3区290円)
この例も、「マイスタイル」にすることで、定期券より利用範囲がぐっと広がります。
定期券だと、梅田、新大阪、天王寺、京橋は入いりませんが、「マイスタイル」ならカバーしていて、かなり便利になります。
【例4】登録駅を「天神橋筋六丁目駅」と「日本橋駅」にした場合(2区240円)
阪急電車の沿線から「天神橋筋六丁目駅」をまたいで地下鉄を利用する場合は、登録駅の1つを境界の「天神橋筋六丁目駅」に設定することで、「マイスタイル」を利用できます。
定期券では含まれない梅田や難波をはじめ、広い範囲をカバーできます。
北大阪急行、阪急電車、近鉄電車をまたいで利用する場合
地下鉄と直通している北大阪急行(北急)、阪急電車、近鉄電車の区間へ、ちょくちょくまたいで利用する場合は、下記の境界駅を「マイスタイル」の登録駅、または対象駅に含むように設定します。
そうしておくと、境界駅を通過した時点で、自動的に地下鉄線内で「マイスタイル」が適用されます。
※途中下車する必要はありません。
直通先 | 境界駅⇒登録駅、対象駅に設定 |
北大阪急行 | 江坂駅(御堂筋線) |
阪急電車 | 天神橋筋六丁目駅(堺筋線) |
近鉄電車 | 長田駅(中央線) |
※マイスタイルを適用させるには、登録したPiTaPaで「地下鉄~(境界駅)~私鉄」の区間を乗り通します。
※PiTaPaと回数券、企画切符、別のICカードなどは併用できません。併用するときは境界駅で途中下車して、改札の出入りが必要です。
※北急のPiTaPa定期券、阪急のPiTaPa定期券・PiTaPa区間指定割引、近鉄のPiTaPa区間指定割引と「マイスタイル」は1枚で併用できます。
定期代よも安いです。(請求と割引のしくみ)
PiTaPa「マイスタイル」は、定期券に比べて、費用の面でもメリットがあります。
「特定の利用」は運賃割引と請求額に上限
「マイスタイル」で「登録駅⇔登録駅」と「登録駅⇔対象駅」を乗車することを「特定の利用」といいます。
「対象駅⇔対象駅」は「特定の利用」ではありません。
定期券は、買うときに、1ヶ月定期なら1ヶ月分の代金を払いします(先払い)。
今風に言えば、「サブスク」です。
期間中に、たくさん乗れば得ですし、それほど乗らなければ損です。
一方、「マイスタイル」は、毎月1日から末日までに乗った分の運賃が、後日まとめて請求されます(後払い)。
その際、「特定の利用」した運賃の合計に1割引(学割は2割引)が実施されます。
さらに、「特定の利用」分の請求額に、上限が設定されています。
その上限額は、6ヵ月定期券代の6分の1の金額(1ヶ月分相当)です。
「特定の利用」でしたら、何回乗っても、この上限額以上は請求されません。
逆に、上限を超えなかったときは、乗った分だけの請求になります。
【マイスタイル上限額の例(大人)】
1カ月通勤定期券の値段 | マイスタイル上限額 | |
地下鉄190円区間(1区) | 7,930円 | 7,140円 |
地下鉄240円区間(2区) | 9,480円 | 8,540円 |
地下鉄290円区間(3区) | 11,030円 | 9,930円 |
地下鉄340円区間(4区) | 11,830円 | 10,650円 |
地下鉄390円区間(5区) | 12,770円 | 11,500円 |
地下鉄2区・バス全線連絡 | 13,860円 | 12,470円 |
バス全線 | 9,000円 | 8,100円 |
例えば、梅田駅~難波駅など、240円(2区)区間の「マイスタイル」の場合、ひと月に地下鉄に何回乗っても「特定の利用」の分は、8,540円以上の請求はありません。
この金額は、1ヶ月の通勤定期代より安いです。
逆に、上限の8,540円分も乗らなかった月は、乗った分だけの請求です。
もし、ひと月に1回も乗らなければ、請求は0円です。
このように、定期券を買うかどうか、損か得で悩むのであれば、「マイスタイル」にしとけば損することはありません。
「特定の利用」でない運賃も1割引
「マイスタイル」では、「特定の利用」以外の利用の運賃も、1割引(学割は2割引)になります。
ただし、上限額はなく、乗った分だけ請求されます。
地下鉄とバスの「乗り継ぎ割引」も適用
大阪メトロでは、地下鉄とバス、またはバスとバスを、ICカードを使って同じ日に連続して乗り継ぐと、自動的に運賃が割引になる「乗り継ぎ割引」を実施しています。
「マイスタイル」に登録したPiTaPaでも、「乗り継ぎ割引」を受けられます。
地下鉄とバス | 地下鉄とバスの運賃の合計金額から100円引き(実際は2乗車目の運賃から引かれます)。 |
バスとバス | 運賃の合計金額から210円引き(実際は2乗車目の運賃から引かれます)。※乗り継ぎ時間に制限あり。 |
例えば、「マイスタイル」の地下鉄プランで、地下鉄からバスに乗り継いだ場合、通常のバス代210円が、「乗り継ぎ割引」で100円引き、さらに「特定の利用以外の利用」で1割引で、結果的に99円になります。
なお、定期券の場合は、その利用区間内で「乗り継ぎ割引」は適用されません。
さらに、PiTaPaを「OSAKAポイント」の会員登録(無料)しておけば、1ヶ月分の運賃の0.5~1%のポイントが付きます。貯まったポイントは毎月の請求に還元できるので、お得です。
【まとめ】「マイスタイル」の請求額計算方法
「マイスタイル」の毎月の請求金額は、次のように計算されます。
※支払いは、金融機関口座からの引き落としになります。
登録や更新はインターネットで手続きできます。
定期券を購入したり、更新するには、発売所の窓口へ出向かないといけません。場所も限られているので面倒です。
一方、「マイスタイル」は、利用登録や更新、内容の変更は、いつでもインターネット上で手続きが可能です(後述します)。
※インターネットが使えない場合は、地下鉄の定期券発売所でも、PiTaPaを持参すれば手続きできます。
学生用の「マイスタイル」もインターネットで登録できます。
まず、大阪メトロの公式サイト「定期券・PiTaPa WEB予約サービス 」で申し込みします。その際、学生証や通学証明書等の画像が必要です。
そのあとで、PiTaPaの公式サイト「Pitapa倶楽部」で「マイスタイル」に登録します。
大阪地下鉄「マイスタイル」のデメリット(定期券にはない注意点)
大阪地下鉄のPiTaPa「マイスタイル」には、次のようなデメリットもあります。
定期券と違う点なので、利用にあたっては確認しておきましょう。
「乗り越し」がありません。
定期券と「マイスタイル」では、登録区間を乗り越した場合の取扱いが違います。
定期券の区間を乗り越した場合は、その乗り越した区間の運賃だけを追加で支払います。
しかし、「マイスタイル」の場合は、乗車した駅から下車駅までの通し運賃がまるまるかかります。
【A駅~C駅の定期券/マイスタイルで、C駅⇒D駅を乗り越した場合】
この場合、定期券だと、C駅⇒D駅の運賃を「乗り越し精算」することになりますが、「マイスタイル」は、A駅⇒D駅の通しの運賃がかかります。
途中のA駅⇒C駅の間も「特定の利用」にはなりません。
A駅⇒D駅の乗車で「特定の利用」以外の利用としてカウントされます。
なお、請求の際には、先触れたように、1割引になります。
「振替輸送」の対象外です。
地下鉄が事故や故障などで運転見合わせになったとき、状況によっては、JRや私鉄へ「振替輸送」が行われることがあります。
定期券の場合は、そのまま振り替え輸送を無料で利用できます。
一方、PiTaPa「マイスタイル」の場合は、「振替輸送」を利用できません(対象外)。
振替先のJRや私鉄を利用する際は、通常の運賃支払いが必要になります。
振替輸送が対象外なのは「マイスタイル」だからというわけではありません。
「マイスタイル」に限らず、PiTaPaやICOCAなどICカードは、全て同じ取扱いになります。ほかの関西のJR、私鉄、地下鉄でも同じです。
※ICOCA定期券やPiTaPa定期券は、「定期券」なので振替輸送を利用できます。
大阪地下鉄「マイスタイル」の登録方法は?いつから使える?
PiTaPaを手に入れて、「マイスタイル」を使ってみよう!となったときは、まず利用登録が必要です。
このとき、登録料など費用は一切かかりません。
このため、今すぐ使う予定がなくても、登録だけしておいても、デメリットはありません。
「マイスタイル」利用登録の方法
利用登録は、大阪地下鉄の定期券発売所か、インターネットのPiTaPaサイトで行えます。
大阪メトロの定期券発売所で
「マイスタイル」の利用登録(変更も)は、下記の地下鉄定期券発売所で手続きできます。窓口で「登録申込書」を記入して、手持ちのPiTaPaと一緒に提出するだけです。
※学割を利用する時は「通学証明書」も必要です(手続きは通学定期券を買うのと同じ)。
※営業時間、休業日は大阪メトロの公式サイト(下方にリンクがあります)で確認ください。
※定期券のような定期券発売所のある駅まで電車代が無料になる制度はありません。
インターネットの「PiTaPa倶楽部」で
インターネットでの利用登録(変更)は、PiTaPa会員サイト「PiTaPa倶楽部」で、24時間いつでもできます。
手続き自体は簡単です。すでに「マイスタイル」の内容が分かっていれば3分ほどで完了します。
※「学割」用は、先に大阪メトロの公式サイトの「定期券・PiTaPa WEB予約サービス」で申し込みが必要です。
※PiTaPaに新しく入会した人は、「PiTaPa倶楽部」への新規登録も行ってください。毎月の請求額や利用明細なども確認できます。
「マイスタイル」利用開始のタイミング
「マイスタイル」の利用登録が完了したあと、実際に割引の適用がスタートするタイミングは表のようになります。
登録内容の変更や解約の適用タイミングも基本同じです。
登録完了日 | マイスタイルの適用開始日 |
1日~15日 | 登録した当月分から、または翌月分から。⇒選べます。 |
16日~末日 | 登録した月の翌月分から |
定期券から「マイスタイル」への乗り換えは、定期券の期限が切れてからにした方がいいです。
定期券を有効期間中に解約(払い戻し)すると、計算方法や手数料の関係で払い戻しが少なくて大損です。
「マイスタイル」の利用登録は、定期券に関係なく、やっておいてデメリットはありません。
「マイスタイル」の実際の使い方は、定期券やICカードと同じように、出入りの際に改札機にPiTaPaをタッチするだけです。
自動的に「特定の利用」「特定の利用以外」を判別して集計されていきます。
「マイスタイル」適用期間の設定
「マイスタイル」を利用登録する際に、その適用期間を設定します。
1ヶ月単位(最大12ヶ月)の設定と「無期限」を選べます。
期間を設定しておくと、その時期がくれば自動的に「マイスタイル」の適用が終了します。再開したいときは、利用登録をすることで使えます。
「無期限」としていると、自分から取り消ししない限りずっと適用が続きます。
繰り返しになりますが、「マイスタイル」は登録しておいても、費用の発生などデメリットはありませんので、特に不都合などなければ「無期限」にしておくと良いです。
公式サイトで「マイスタイル」のシミュレーションを!
大阪地下鉄(メトロ)、大阪シティバスで定期券を買う場合は、とりあえず「マイスタイル」のシミュレーションをして比べてみましょう。
パソコンやスマホから公式サイトにアクセスすれば、すぐにできます。
シミュレーションのページで、登録駅を2か所入力すると、利用できる範囲(対象駅)がすぐに表示されます。
上で紹介した例のように、定期券だと自宅と会社の最寄駅の経路に、梅田や難波などが含まれていない「しょぼい」区間でも、「マイスタイル」することで含まれることがあったりしますよ。
「マイスタイル」の最新情報の確認と合わせて、シミュレーションを試してみてください。
まとめ:【定期券とPiTaPa「マイスタイル」の違い・メリットとデメリット】
大阪メトロで、定期券と「マイスタイル」のどちらにしようかと悩んだら、「マイスタイル」にしておいて損はありません。
そのお悩みの原因は、値段のことが大きいと思います。
値段的には「マイスタイル」の方が、1ヶ月や3ヶ月の定期券を買うより安くつきます。
そして、実際の支払いは、上限つきの使った分だけの請求なので、ゴールデンウィークやお盆、年末年始などで、出勤日が少ない月はお得です。
値段以外の面では、「マイスタイル」は、定期券より利用できる範囲が広がります。
ただし、登録駅で乗り降りする必要があります。
通勤通学だけでなく、例えば通院や習い事、休日の利用などプライベートを含めた1ヶ月の利用状況をふまえて、交通費の節約効果を検討してみてください。
定期券 | マイスタイル | |
必要なカード | 磁気式なら特になし。ICOCA定期はICOCAが必要。 | PiTaPa |
利用できる範囲 (登録駅はA駅とB駅) |
A駅⇔B駅の間のどの駅でも乗り降り自由。 | A駅⇔B駅のほか、A駅/B駅⇔対象駅が利用できます。対象駅⇔対象駅は不可。必ずA駅、B駅のどちらかて乗降。 |
利用できる経路 | 指定された経路のみ ※迂回ルートの設定はOK |
経路は自由 |
値段 (地下鉄240円区間の場合) |
1ヶ月9,480円 3ヶ月27,020円 6ヶ月51,200円 |
1ヶ月最大8,540円(地下鉄プラン) |
料金の仕組み | 先払いで、乗っても乗らなくても一律。 | 後払いで、6ヶ月定期券の6分の1が上限。これ以下の場合は使った分だけ(さらに割引あり)。 |
購入・登録・更新場所 | 定期券発売所 | インターネット |
乗り越し精算(A駅⇔B駅区間を越えて乗車した場合) | 定期券区間を越えた部分の運賃がかかります | 乗車したA駅から下車駅までの通し運賃がかかります。 |
振替輸送 | 無料で利用できます(対象) | 利用できません(対象外) |
※大阪メトロでは、PiTaPa定期券は発売していません。定期券はICOCAのみです。
PiTaPa割引サービスには「プレミアム」というものもあります。地下鉄利用のみ対象で「マイスタイル」よりも上限額が高くなりますが、利用できる範囲(「特定の利用」の対象)が広がります。
コメント