こんなお悩みにお答えします。
【この記事の内容】
- 大阪メトロの「迂回(うかい)定期券」を紹介します。
大阪地下鉄(メトロ)の通勤定期券を買うかどうか迷っている考えているあなた、そして、定期代の割に通勤以外に使い道のない「ショボい」定期券を使っているあなた、「迂回(うかい)定期券」って知っていますか。
大阪メトロの、”知る人ぞ知る”、定期券のお得な買い方の1つです。
通勤定期券は普通、自宅の最寄り駅やJRや私鉄との乗換駅と職場の最寄り駅の間で作りますよね。
「迂回定期券」は、同じ区間でも最短ルートではなくて、通勤以外にプライベートなどで普段ちょこちょこ利用する駅を組み入れたルートにするというものです。
定期代は最短ルートと同じか、ちょっと高くなる程度。交通費全体としては節約になるかもしれません。
ここでは、大坂メトロの「迂回定期券」とは?ということで、その内容やしくみ、作り方、値段、買い方についてまとめました。
大阪地下鉄の「迂回(うかい)定期券」とは?
大阪地下鉄(メトロ)の「迂回(うかい)定期券」とは、最短区間ではなく、あえて大回り(遠回り)のルートで作るものです。
下図のようなイメージ。
このように、迂回定期券にすることで、通常の定期券では、含まれない駅が利用できるようになります。
ルートをうまく組めば、通勤以外でも定期券が使える機会が増えて、交通費全体の節約効果が期待できます。
でも、ルートが大回りになると距離が長くなるから、定期代が高くなって、かえって損になるんとちゃうの?と思いますよね。
実は、迂回定期券にしても、必ずしも高くなるとは限りません。
最短ルートで片道の運賃が340円(4区)や390円(5区)の区間を利用している場合、迂回定期券にしても、同じ定期代と同じか、ちょっとプラスするくらいです。
定期券を買うとき、「迂回」を検討してみる値打ちはありますよ。
ちなみに、迂回定期券が作れるのは通勤定期のみです。
磁気カード定期券、ICOCA定期券は問いません。
迂回定期券を作っても、実際に乗るときは、大回りする必要はありません。普通に最短ルートで移動して大丈夫です。
ただ、迂回のルート上から外れている駅では、途中下車(乗り降り)できません。
大阪地下鉄「迂回定期券」のルートはどう設定する?(組み方)
迂回定期券を作るにあたっては、自宅と職場の最寄り駅(もしくは他線やバスとの乗換駅)、そして通勤以外で利用する(したい)駅を、念頭にルートを考えます。
その際、好き勝手にルートを組むことはできません。決まり(ルール)があります。
次の2つの要件を満たす必要があります。
【迂回ルートの組み方2大ルール】
- 乗り換え駅は2か所まで。
- 同じ駅を2回通らない。
【ルールその1】乗り換えは2か所まで。
まず、迂回定期券のルート設定では、地下鉄の路線と路線との乗り換え(乗り継ぎ)駅を片道2か所までとしないといけません。
例えば、御堂筋線から「本町駅」で中央線へ乗り換えると「乗り換え1回」になります。
こうした乗り換えを最大2回でルートを組みます。
ただし、地下鉄とニュートラムとの乗り換え(コスモスクエア駅・住之江公園駅)は、乗り換え回数にカウントしません。
駅名や場所は違うが「乗換駅」として利用できる駅
- 御堂筋線「梅田駅」と四つ橋線「西梅田駅」と谷町線「東梅田駅」
- 御堂筋線・長堀鶴見緑地線の「心斎橋駅」と四つ橋線「四ツ橋駅」
それぞれ3つの駅、2つの駅で1つの駅として扱います。梅田での乗り換えは改札をいったん出て、駅から駅へ歩いて移動します。
【ルールその2】同じ駅を2回通らないこと。
迂回定期券のルート設定で、同じ駅を2回通る組み方はできません。必ず「一筆書き」にする必要があります。
その際、次の3か所は、駅の名前や場所が別ですが、同じ駅として扱います。
特に御堂筋線と四つ橋線をルートに使うときは、注意が必要です。
【名前は違うけど同じ駅として扱う駅】
- 「梅田駅」(御堂筋線)と「西梅田駅」(四つ橋線)と「東梅田駅」(谷町線)
- 「淀屋橋駅」(御堂筋線)と「肥後橋駅」(四つ橋線)
- 「心斎橋駅」(御堂筋線・長堀鶴見緑地線)と「四ツ橋駅」(四つ橋線)
大阪地下鉄「迂回定期券」の定期代はどうなる?
それでは、気になる迂回定期券の値段についてです。
迂回定期券の運賃(定期代)は、迂回ルートの総距離によって計算します(下表)。
このときの距離は、実測のものではなく、大阪地下鉄が決めた営業上のものです。
例えば、あなたが組んだ大回りルートの合計距離が15kmでしたら、4区(340円区間)の定期代が迂回定期券の値段になります。
普通運賃 | 距離 | 1ヶ月通勤定期 | 6ヶ月通勤定期 | |
1区 | 190円 | ~3km | 7,930円 | 42,830円 |
2区 | 240円 | 3km超~7km | 9,480円 | 51,200円 |
3区 | 290円 | 7km超~13km | 11,030円 | 59,570円 |
4区 | 340円 | 13km超~19km | 11,830円 | 63,890円 |
5区 | 390円 | 19km超~ | 12,770円 | 68,960円 |
距離が短い1区や2区では、迂回(大回り)することによって距離が伸び、定期代としては高くなる場合が多いです。
逆に、4区や5区はもともとの距離が長いので、迂回しても運賃は同じか、若干高くなる程度です。
普通運賃(最短距離)が390円の区間(5区)を利用している人は、「迂回定期券」にしても通常の定期代と変わりません。
迂回ルートの距離は、大阪メトロの公式サイトの「運賃・経路検索」で確認できます)。
「出発地」と「到着地」を入力のうえ、迂回するルートで経由したい駅を「経由地を追加」の欄に入力して「検索」します。
すると、区間によってはいくつかルートの候補が表示されます。そのなかに、自分の希望するものと、ルート設定のルールに合うもの(乗り換え2か所以内&同じ駅を2回通らない)があれば、その距離を確認してください。
定期代は、運賃が表示されていますが、それではなく距離によって計算します(上の運賃表を参照)。
【例:江坂駅~天王寺駅~谷町四丁目駅~長田駅の迂回距離を調べる】
迂回ルートは24.3kmなので、迂回定期代は5区(390円)の金額になります。
※希望のルートが検索結果に出ない場合は、区間を分けて検索して、それぞれの距離を合計して算出します。
(注意点)迂回定期券が作れない場合
迂回定期券は、以下の場合には作ることができません。
◆通学定期の場合。迂回定期券は通勤定期限定です。
◆私鉄連絡定期券の場合。阪急電車や近鉄電車など他社の定期券と一体なっている大阪地下鉄の定期券では作れません。他社の定期券と地下鉄の定期券を2枚に分けると可能です。
大阪地下鉄「迂回定期券」の具体例
以上、大阪地下鉄の迂回定期券とはどんなものか、そのしくみや運賃をみてきましたが、まだイメージしにくい部分があるかもしれません。
そこで、僕の知り合いが実際に迂回定期券に切り替えた例を4つ挙げてみました。
【例1】「弁天町駅⇔谷町四丁目駅」の場合
「弁天町駅」⇔「谷町四丁目駅」は同じ中央線なので、通常の定期券は、これらの駅を「本町駅」を経由して直接結ぶシンプルなものになります。
この定期券だと、梅田や難波に出るには、そのつど追加の地下鉄運賃が必要です。
そこで、定期券のルートを、図のように梅田駅を通る「大回り」に設定しました。
こうすることで、定期券で梅田駅を利用できるようになりました。これが「迂回定期券」です。
この例では、大回りの迂回定期券に変更にすると、定期代が1,550円(1ヶ月)高くなります。
でも、梅田へ出るたびに乗り越し精算していた片道190円が必要なくなりました。
通常ルートの運賃 | 普通運賃:240円(2区)、1ヶ月定期代:9,480円 |
迂回ルートの設定 | 弁天町駅⇔本町駅⇔梅田駅・東梅田駅⇔谷町四丁目駅 |
迂回ルート乗換駅 | 本町駅(中央線⇔御堂筋線)、梅田駅・東梅田駅(御堂筋線⇔谷町線)の2か所 |
迂回ルートの距離と運賃 | 10.0km ⇒普通運賃:290円(3区)、1ヶ月定期代:11,030円 |
【例2】「江坂駅⇔長田駅」の場合
「江坂駅」(御堂筋線)⇔「長田駅」(中央線)の定期券は、通常「本町駅」で乗り換えるルートになります。
この定期券では、心斎橋や難波、天王寺へは行けません。ミナミへ遊びに行く時は、別に地下鉄運賃を払わないといけませんでした。
そこで、図のようなルートの迂回定期券にすると、1ヶ月定期だと940円追加ですが、心斎橋や難波、天王寺へも利用できるようになりました。
一方で「堺筋本町駅」で乗り降りできなくなります。
通常ルートの運賃 | 普通運賃:340円(4区)、1ヶ月定期代:11,830円 |
迂回ルートの設定 | 江坂駅⇔梅田駅⇔難波駅⇔天王寺駅⇔谷町四丁目駅⇔長田駅 |
迂回ルート乗換駅 | 天王寺駅(御堂筋線⇔谷町線)、谷町四丁目駅(谷町線⇔中央線)の2か所 |
迂回ルートの距離と運賃 | 24.3km ⇒普通運賃:390円(5区)、1ヶ月定期代:12,770円 |
【例3】「大日駅⇔中ふ頭駅」の場合
「大日駅」(谷町線)⇔「中ふ頭駅」(ニュートラム)間は、いくつかルートがありますが最短距離の定期券は「天神橋筋六丁目駅」「堺筋本町駅」「コスモクスエア駅」を経由するものになります。
これでは、難波や天王寺へは利用できませんでした。
そこで、図のようなルートの迂回定期券にすることで、定期代は変わらずに、その不便を解消できました。
通常ルートの運賃 | 普通運賃:390円(5区)、1ヶ月定期代:12,770円 |
迂回ルートの設定 | 大日駅⇔東梅田駅⇔天王寺駅⇔難波駅⇔本町駅⇔コスモスクエア駅⇔中ふ頭駅 |
迂回ルート乗換駅 | 天王寺駅(谷町線⇔御堂筋線)、本町駅(御堂筋線⇔中央線)、コスモスクエア(中央線⇔ニュートラム) ※地下鉄とニュートラムとの乗り換えは回数に入れません。 |
迂回ルートの距離と運賃 | 33.8km ⇒普通運賃:380円(5区)、1ヶ月定期代:12,770円 |
【例4】「なかもず駅⇔阿波座駅」の場合
「なかもず駅」(御堂筋線)⇔「阿波座駅」(中央線・千日前線)の定期券は、通常「難波駅」か「本町駅」を経由するルートになります。
これだと梅田へは行けません。
梅田にも、仕事の関係で南港のエリアへも、よく行くというので、図のようなルートの迂回定期券にしました。
この例では、迂回定期券にすることで、1ヶ月定期で940円高くなります。
これと梅田や南港へ行くたびに追加で支払っていた地下鉄代と比べて損得を判断した結果、迂回定期券に切り替えました。
通常ルートの運賃 | 普通運賃:340円(4区)、1ヶ月定期代:11,830円 |
迂回ルートの設定 | なかもず駅⇔天王寺駅⇔東梅田駅・西梅田駅⇔住之江公園駅⇔コスモスクエア駅⇔阿波座駅 |
迂回ルート乗換駅 | 天王寺駅(御堂筋線⇔谷町線)、東梅田・西梅田駅(谷町線⇔四つ橋線)、住之江公園駅(四つ橋線⇔ニュートラム)、コスモスクエア駅(ニュートラム⇔中央線) ※地下鉄とニュートラムとの乗り換えは回数に入れません。 |
迂回ルートの距離と運賃 | 46.1km ⇒普通運賃:390円(5区)、1ヶ月定期代:12,770円 |
大阪地下鉄「迂回定期券」の買い方は?
迂回定期券は、地下鉄の定期券発売所や主要駅にある自動定期券発行機で買えます。
初めての場合は、ルート設定に問題がないかどうかの確認のために、定期券発売所での購入をおすすめします。
発売所では、通常の定期券と同じように、購入申込書に必要事項に記入して、窓口に提出します。
その際、申込書の経由駅欄に、ルート上の乗換駅を記入しておきます。
複雑な場合は、別にメモしたものを用意しておくといいかもしれません。そして、窓口で「迂回です」と伝えるとスムーズです。
ルートなどに問題なければ、すぐに発券してもらえます。
※迂回定期券には、定期券の表面に「う回」という文字が入ります。
迂回定期券について電話で問い合わせしたいときは、総合窓口の「大阪メトロ・シティバス案内コール」ではなく、定期券発売所に直接かけた方が確実です。
「案内コール」の担当者は、ほとんど把握できていません(電話代がムダです)。
※定期券発売所の電話番号も公式サイトに載っています。
【参考】迂回定期券より「PiTaPa」の運賃割引サービスが得な場合も
大阪メトロの定期代でお悩みなら、迂回定期券とあわせて、ICカードのPiTaPa(ピタパ)の運賃割引サービスとも比較してみてください。
PiTaPaを持っていることが前提になりますが、地下鉄の利用状況によっては便利で得になる可能性があります。
大阪メトロのPiTaPa割引サービスには、「マイスタイル」「プレミアム」という2つのプランがあります。
「マイスタイル」「プレミアム」とも、毎月の運賃の支払いに上限額が付いたサービスです。
あなたが普段地下鉄を利用している状況によっては、(迂回)定期券よりもお得で便利になるかもしれません。
特に、迂回定期券では高くなる、240円(2区)や290円(3区)の場合は、定期代より安くなる可能性が大です。
例えば、上述の迂回定期券の具体例【例1:弁天町駅⇔谷町四丁目駅】で、PiTaPaの割引サービスを使うと、地下鉄が利用できる範囲と1ヶ月の運賃(費用)はこのようになります。
◆PiTaPa「マイスタイル」の場合(弁天町駅と谷町四丁目駅を登録)
PiTaPa「マイスタイル」にすると、赤枠の駅⇔赤枠の駅、赤枠の駅⇔緑枠の駅が利用できます。
緑枠駅⇔緑枠の駅は利用できませんが、梅田と難波、キタもミナミにも行けるようになります。
しかも、毎月の上限額は6カ月定期券の6分の1(1ヶ月8,540円)なので、(迂回)定期代よりも安くなります。
ちなみにPiTaPa「マイスタイル」には、学割もあります。
◆PiTaPa「プレミアム」の場合(阿波座駅を中心に小エリア=240円区間相当)
PiTaPa「プレミアム」では、赤枠の駅⇔緑枠の駅と緑枠の駅⇔緑枠駅が利用できます。つまり、色が付いている駅があるエリア内が乗り放題です。
利用範囲の広がって、弁天町と谷四はもちろん、梅田と難波もそのエリアに入っています。
ただ、「プレミアム」の場合は毎月の上限額が9,590円と1ヶ月の定期代より少し高くなります。学割はありません。
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